自然環境

鶴岡市自然学習交流館周辺の自然環境についてご紹介します。

高館山

標高274mの低山ながら、江戸幕府の直轄領として森林の伐採が禁じられたためブナ群生林が残っており、貴重な動植物が生息しています。ハイキングやバードウォッチングの場としても人気があります。

大山上池・下池

大山上池

面積15ha、江戸時代に治山治水の水害対策と農業用水の貯水池として築造されました。現在もその役割を果たしつつ、生物の豊かな生態系を持ちながらの美しい景観は、訪れた人々を和ませてくれます。

大山下池

面積24ha、上池と同様、江戸時代に水害対策と農業用水の貯水池として築造されました。周囲を散策できる遊歩道も整備され、また堤防には野鳥観察をできる「おうら愛鳥館」があり、1年を通して自然の移りかわりを見ることができます。池面に映る高館山も眺められます。

「大山上池・下池」は、2008年10月に「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」である「ラムサール条約」に登録されました。山形県で唯一のラムサール条約登録湿地です。現在(2026年3月末時点)、日本には54か所の登録地があります。

都沢湿地

下池の東側に広がるこの場所は、もとは田んぼでした。下池から浸みでる水が、庄内の典型的かつ貴重な生態系を作っています。しかし、このままでは乾燥化が進み陸地化するため、ほとりあでは、市民とともに都沢湿地の外来種駆除や、水路の草刈を行い、多様な生物が賑わう地を守る保全活動を行っています。近年は市民の力で外来種駆除を行い、多様な生物が賑わう地を守る保全活動が行われています。

自然環境の特質

大山上池・下池は、ラムサール条約への登録に伴い、国の鳥獣保護区・特別保護地区に指定されています。高館山を含む一帯は、庄内海浜県立自然公園に指定されており、西面は北方に広がる庄内砂丘の一端に連なっています。高館山は、本州の平地では珍しく貴重なブナの群生地があり、寒地系植物と暖地系植物の双方が分布しているほか、多種の低標高地の湿性植物が見られるなどの特徴を有しています。

このように、当地域は人里に近いにも関わらず東北地方日本海側の低標高地の代表的植生を残しており、非常に多様性に富んだ優れた生態系を形成しています。

また、高館山や八森山に降った雨水や雪解け水が、落ち葉の腐葉土層に貯えられ、上池・下池に徐々に流れ込み、両池の水源ともなっています。さらに上池・下池の水は、昔から大山地域周辺の田畑を潤し続け、四季折々の自然の表情は人々を癒してきました。

野鳥の楽園

上池と下池、それに高館山一帯は、大山地域住民の生活と密接な関係にあり、大山地域のシンボルとして多くの人々の憩いの場となっています。

両池には多種類の鳥類の生息が確認されていますが、冬には多くの水鳥が飛来し、全国的に重要な越冬地兼中継地となっています。中でも両池はカモ類が多く、マガモは毎年2万羽から3万羽の飛来が確認されています。その他のカモ類では、コガモ、オナガガモ、ミコアイサなどが多く見られます。

そのほか、コハクチョウが越冬のため、毎年1,000羽から4,000羽ほど飛来します。朝には両池から飛び立ち、庄内平野の田んぼで採餌する風景を見ることができます。

ガン類ではオオヒシクイ、マガンが毎年確認され、まれにサカツラガン、ハクガン、シジュウカラガンが観察されます。

春秋の渡りの時期には、個体数が減少しているとされるアオジやカシラダカ、ベニマシコなどの小鳥も多く見られます。また、ヒクイナは山形県で唯一、繁殖が確認されています。

猛禽類では、冬期間にオオワシ、オジロワシなどが飛来し、フナやカモを捕食する姿が見られるほか、オオタカは高館山周辺に生息しており、一年を通して観察することができます。

動植物の宝庫

両池は、かつて県内でも有数のトンボの生息地でした。ウシガエルやアメリカザリガニの影響により一時的に個体数は減少しましたが、駆除の効果もあり、近年は回復傾向にあります。トンボの種類数は自然環境のバロメーターともいわれており、希少種であるコフキトンボやチョウトンボ、ウチワヤンマが生息しています。さらに近年では、ハラビロトンボやオツネントンボも確認されています。

植物では、ブナ原生林が残されているほか、トチノキやイタヤカエデ、ケヤキ、オニグルミ、ハリギリ、アカシデ、ミズナラ、コナラ、ヤマボウシ、ハウチワカエデ、ホオノキ、クリ、アズキナシ、アオハダなど多様な樹木が生い茂ります。他にオオミスミソウ、シラネアオイ、キバナイカリソウ、マルバマンサクなどの日本海側の植物も多く分布しています。

ハス

7月に入ると、池では湖面にハスの花が咲き始めます。最盛期の8月になると池一面覆われるようにハスの花が咲き誇ります。江戸時代から続く「大山浮草組合」によって、8月10日、11日の2日間だけ、ハスの花や葉の収穫を行い人々は仏前に供え、旧盆の行事として祖先の霊を祭ります。

参考文献:「平成20年度国指定大山上池・下池鳥獣保護区指定に係る調査報告書」尾浦の自然を守る会 平成20年7月発行

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