庄内自然博物園構想は、「都沢湿地・高館山・大山上池・下池およびその周辺一帯を自然学習のフィールドとし、子どもたちをはじめ市民一人ひとりが自然との一体感を実感できるよう、自然と触れ合う機会を創出したい」という願いから始まりました。
この構想は、特定の施設や自然環境だけを指すものではありません。
湿地や森林、そこに息づく生きものや受け継がれてきた文化も含め、地域の自然と人とのかかわりそのものを「まるごと博物園」と見立てる発想に立っています。
自然の中で学び、体験し、関わることを通して、
「自然を愛し、科学する心」、「生命の大切さを感じる心」、「郷土を愛し、誇りに思う心」を育むことを目標としています。
自然とともに生きる暮らしの価値を再発見し、その営みを未来へとつないでいく――それが庄内自然博物園構想の目指す姿です。

? 庄内自然博物園構想の次のステップへ
~ 庄内自然博物園構想 中長期計画(2024~2028年)~
前段で掲げた「まるごと博物園」という理念を、具体的な行動へと進めるため、庄内自然博物園構想では2024年から2028年までの中長期計画を策定しました。
この計画は、構想の原点である“自然と人とのかかわり”を、より確かな実践へとつなげていくための指針です。
使命(ミッション)自然と共にある暮らし
~ しぜんがあると わたしたちのくらしは ワクワクするよ!~
私たちは、自然を守るだけでなく、自然の中で学び、活かし、つながることで、日々の暮らしそのものを豊かにしていくことを目指します。
コアエリアと拠点
本構想は、鶴岡市自然学習交流館ほとりあを拠点とし、水でつながる
- 都沢湿地
- 大山上池・下池
- 高館山
を「コアエリア」と位置づけ、中心的な活動フィールドとします。
この地域一帯を“まるごと博物園”としてとらえ、保全と活用、学びと交流を統合的に進めていきます。
3つの社会的役割
理念を実現するために、次の3つの役割を担います。
【人づくり】
自然環境学習を通して、主体的に活動へ参画する人材を育てます。
【場所づくり】
多様な人が多様な目的で自然と関わることのできる空間を創出します。
【地域づくり】
交流の場に人が集い、学び合い、支え合うことで、よりよい地域を築きます。
4つの目標
中長期計画では、理念を具体化するために4つの目標を掲げています。
目標1「まもる」
里地里山環境に触れ、楽しみながら、自然環境や文化を守ります。
自然を“守る対象”ではなく、“共に生きる存在”として次世代へ継承します。
目標2「まなぶ」
里地里山での体験活動を通して自然を学び、「自然を愛し、科学する心」を育みます。
目標3「つかう」
保全と学びを基盤に、地域資源を持続的に活用します。
自然の恵みを活かしながら、循環する地域づくりを目指します。
目標4「つながる」
里地里山での活動を通して、自然と人、人と人がつながります。
そのつながりが、新たな価値と地域の力を生み出します。


※中長期計画のコアエリアについて
庄内自然博物円構想の中長期計画では、特に「都沢湿地、高館山(自然休養林)、大山上池店下池(ラムサール条約登録湿地)」をコアエリアとし、このエリアを構想の学習交流拠点施設である「鶴岡市自然学習交流館ほとりあ」の中心的な活動フィールドと位置づけて事業を推進していきます。

用語集
ESD
Education for Sustainable Developmentの略で、和訳では「持続可能な開発のための教育」といいます。つまり「持続可能な社会を目指して行動できる人を育てるための教育」です。今、世界には気候変動、生物多様性の喪失、資源の枯渇、貧困の拡大等人類の開発活動に起因する様々な問題があります。ESDとは、これらの現代社会の問題を自らの問題として主体的に捉え、人類が将来の世代にわたり恵み豊かな生活を確保できるよう、身近なところから取り組む(think globally, act locally)ことで、問題の解決につながる新たな価値観や行動等の変容をもたらし、持続可能な社会を実現していくことを目指して行う学習・教育活動です。つまり、ESDは持続可能な社会の創り手を育む教育です。
SDGs
2030年までに達成すべき具体的な「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」のことを言います。この目標は、貧困、紛争、気候変動、感染症など、人類は、これまでになかったような数多くの課題に直面しており、このままでは、人類が安定してこの世界で暮らし続けることができなくなると心配されている危機感から、世界中のさまざまな立場の人々が話し合い、課題を整理し、解決方法を考えて立てたものです。
ローカルSDGs
地域循環共生圏とも呼ばれています。
それぞれの地域にある、異なる再生可能な資源(自然、物質、人材、資金等)を循環させて有効利用し、地域の特徴によって補完し合うことで、地域の活力を最大化させて持続可能な自立・分散型の社会を形成するという概念のこと。「ヒト・モノ・カネを地域内で循環させて、それぞれの地域同士でも融通して、社会を持続可能なかたちで、うまく回していこう」という考え方です。
ゾーニング
「区別する、区画する」という意味で様々な場面で用いられる用語ですが、この場合は、都沢湿地をこれまでの経過や現状を踏まえながら、用途や目的別に区分けすることを言います。
ラムサール条約・ラムサール条約登録湿地
ラムサール条約は1971年2月2日にイランのラムサールという都市で開催された国際会議で採択された、湿地に関する条約です。正式名称は、「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」といいますが、採択の地にちなみ、一般に「ラムサール条約」と呼ばれています。「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約(ラムサール条約)」の締約国は、自国の湿地を条約で定められた国際的な基準に従って指定し、条約事務局が管理する「国際的に重要な湿地に係る登録簿」に掲載します。これが「ラムサール条約湿地」です。
庄内セブンの森について
「庄内セブンの森」は、一般財団法人セブン-イレブン記念財団、鶴岡市、庄内自然博物園構想推進協議会の三者が2025年2月5日に連携協定を締結し、都沢湿地の自然環境を守り、次世代へ引き継ぐことを目的として取り組んでいる環境保全活動です。協定期間は2025年から2035年までの10年間で、湿地の再生や保全活動、自然環境学習などを進めています。
活動の舞台となる都沢湿地(約7.7ha)は、山形県鶴岡市に位置し、かつて庄内平野に広く存在した氾濫原湿地の名残をとどめる場所です。もともとは豊かな自然湿地でしたが、時代の流れの中で水田として利用され、農業の縮小により休耕田となった後は管理が行き届かず、自然環境の劣化が課題となっていました。
こうした背景から、地域の自然と共生する湿地環境の再生を目指し、「庄内セブンの森」の取り組みが始まりました。現在は、ヨシやマコモなど大型湿生植物の刈り取りや集草、条件付特定外来生物であるアメリカザリガニの駆除、木道整備などの環境管理を行うとともに、市民や子どもたちが参加する自然体験や環境学習の場としても活用されています。
